月と山田2
お月さまを呑み込んだら、
私のお腹は、まん丸く膨らんで、
うっすら、青く、光るかな。
光を食べて生きています。
だから、お腹とお尻が、
ホタルみたいに、ぽわんと点滅しています。
お月さまを呑み込んだら、
私のお腹は、まん丸く膨らんで、
うっすら、青く、光るかな。
光を食べて生きています。
だから、お腹とお尻が、
ホタルみたいに、ぽわんと点滅しています。
落ちゲー(落ち物パズルゲーム)をしました。
画面の上から、幾何学的なモノや、植物や、フルーツ、
あるいはプニっとしたものが落ちてきます。
画面の右上に、次に落ちてくる物体が表示されています。
それを右目でそれを見て、頭の隅にはさみつつも。
今、すべきことは、
今、落ちている物体を処理することです。
反射的にコントローラーの上で親指が動きます。
集中していると、何も考えていないのに、
指が勝手に落ちている物体を手際よく処理してくれます。
Aボタンで上下左右の向きを変え、十字ボタンで移動させる。
さらに集中が高まると、次の次に出てくる物体が何なのか、
感覚的に分かってきます。
しばらくやっている内に、
何十手も先まで見えてしまいました。
まるで、将棋の羽生名人のように。
私はテレビゲームの画面に向かって
「参りました」と頭を下げました。
五線紙の上の音符♪
ジグザグに、まっすぐに、
長く、短く、
ランダムに置かれている音符。
庭園の置き石の上をステップするみたいに、
音符の上を跳ねてみる。
音符を踏むと音が出る。
スキップするとメロディーが生まれる♪
超高層ビルの中を散歩しています。
静かなエレベーターは、異次元に向かって走る列車みたい。
ドアが開いたら、そこは見知らぬ星かもしれない。
あるいは、10年前の地球かもしれない。
誰もいない広いフロアの中をとぼとぼ歩いていると、
いろいろな妄想が渦巻いてきます。
電気は煌々と灯っているのに、
人っ子一人歩いていないんですもの。
耳をすませ、
眼を見開き、
クンクン臭いをかいだり、
五感をフルに働かせながら、神妙に歩きます。
エレベーターが開けば、中には血だらけの惨殺死体が横たわり、
どこかのドアを開けたら、金属バットを振り上げて待っている者があり、
廊下の角を曲がったところには、大きい鎌を振りかざす者がいる。
無事、角を曲がりきると、背中から鈍器で殴る者がいる。
そんな気配に満ちています。
SFとホラーがミックスされて、
想像するだけで、命がけです。
怖くて、おちおち出かけてもいられません。
空に火の玉が浮かんでいました。
昨日も、そして今日も。
火の玉は、じっと見ていられないほど眩しくて、暖いです。
地球外の火の玉が、空に浮かんでいるのに、
これは…たぶん、UFOが往来するよりもすごいことなのに。
むしろ、夜ご飯のおかずや、洗濯物の乾き具合の方に、
心が向いてしまうことが、面白いです。
口を大きく開けて、あくびをしたら、
シャボン玉みたいなものが出て来ました。
シャボン玉みたいな、透明な玉が。
ゆっくりと口を開けたり閉めたりすると、
次から次に、玉が出てきます。
水中で口をパクパクさせている、お魚のようです。
シャボン玉は、透明なカプセルになり、
ゆらゆらと空中に浮かんでいます。
よく見ると、
カプセルの中には、
小さな果物、
小さな椅子、
小さなピアノ等々…。
可愛らしいミニチュアの物が、入っています。
面白い! 面白いよ!
次から次に、出てくるよ☆
私は、ガシャポン(capsule toy)の機械になったみたい。
仏教徒は、牛を食べない。
イスラム教徒は、豚を食べない。
日本人は、犬を食べない。
フランス人は、ウサギを食べる。
エジプト人は、鳩を食べる。
日本人は、クジラを食べる。
山田は、カラスを食べない。
カスミは、ひじきの煮物を食べない。
タマミは、5年を目処に業態を変えるため、外装や内装をチープに施している、そこそこ洒落た雰囲気の、チェーン展開の店の冷凍コース料理(原価490円、売価3500円)を食べない。
私は、どんなにお腹がすいても、
人間や猫やトイプードルやシーズーやパグとか、
見慣れているケモノは、食べないと思う。
本当にお腹が空いたら、畳や壁紙は食べるかもしれない。
そして、絶対に食べるのは、お花!
ヒラヒラした花びらの、サーモンピンク色のお花は美味しそう!
ステキ、すてき。
飾ってもステキ、食べてもステキなのは、可愛いお花だけ☆
タマミとカスミを連れて、
イースター島へピクニックに来ました。
モアイ像がたたずむ丘に座り、
美味しいおにぎりを食べました。
たらこ、おかか、塩鮭。
海苔の香りいっぱいの、小さい俵型のおにぎり。
とてもお天気が良くて、
お腹いっぱいになったので、
つい、ウトウトと眠ってしまいました。
大地に背中を支えられ、
何の用事にも追われずにお昼寝するのは、
最高に贅沢な時間です。
そんな贅沢を何度も味わっているけれど、
全然、飽きることがありません。
◇ ◇ ◇
何時間ぐらい眠っていたでしょうか。
目覚めてから、ここがどこだか気付くまで、2秒ぐらい。
目の前に、海が広がっている。
それは、私の家から見えるいつもの海とは違う風景。
寝起きの頭で見た景色の、その普通ではない感じに、
急に眼が覚め、釘付けになりました。
何十体というモアイ像が、海に向かい、
隊列を組んで行進しているのです。
まるで、アメリカ空軍の航空ショーのように、
きれいに逆V字の隊列を組んでいるのです。
しばらく沖の方まで進んだモアイたちは、
今度はぐるりと振り返って、まっすぐ横に並び、
こちらの方へ向かって来ます。
歩いているのか、泳いでいるのか。
とんでもないものを見てしまったのかもしれません。
このことは秘密にしなくちゃ。誰にも言ったりしない。
モアイたちは、そんな私の畏れなど気にしていないかのように、
堂々と隊列を組んで、こちらへ向かって来ます。
私は、タマミとカスミの手を引き、
丘の上の方まで走って逃げました。
遠くからモアイ軍団を見守っていると、
彼らは隊列の形を変え始めました。
ドドン、ドン、ドン。
彼らが動くたびに、大地が鳴ります。
小さい花が、踏みつけられて可哀想!
ドドン、ドン、ドドン。
やがてモアイたちは、段々の上に上がり、
数体ずつ三角状に列を成し、
ゆっくりと、こちらへ回転しました。
大きめのモアイが2体、一番上の段に乗っています。
その隊列を組み終えると、ひと呼吸の間をおき、
「ひな祭り、おめでとう」
と上段のモアイが言いました。
すると、そのモアイたちの背後から
可憐な桃の花を咲かせた枝が広がり、
それは、中段のモアイ、下段のモアイへと続きました。
「ありがとう」
可愛くはないけれど、嬉しかったです。
モアイさんたち。
私たちは3人で『春 ラ!ラ!ラ!』を唄いながら、
スキップで桃の節句を祝いました。
♪ 春という字は 三人の日と書きます〜
(タマミとカスミと そして私の日〜)
桃の花咲く樹の下で 三人そろって 春ラララ〜 ♪
3月だから、
3月の歌を歌い
3月の星を探し
3月の海で遊ぼう
それは一体、
どんな歌? どんな星? どんな海?
どんなのかを想像するのが、
3月の流儀。
春が来たら、それからはもう冬に向かって行くから、
今のうち、今のうちに、春の予感を味わいつくすの!