10
3月
3:33

月と山田2



お月さまを呑み込んだら、
私のお腹は、まん丸く膨らんで、
うっすら、青く、光るかな。



光を食べて生きています。
だから、お腹とお尻が、
ホタルみたいに、ぽわんと点滅しています。



9
3月
3:33

ゲームをする山田



落ちゲー(落ち物パズルゲーム)をしました。

画面の上から、幾何学的なモノや、植物や、フルーツ、
あるいはプニっとしたものが落ちてきます。


画面の右上に、次に落ちてくる物体が表示されています。
それを右目でそれを見て、頭の隅にはさみつつも。

今、すべきことは、
今、落ちている物体を処理することです。
反射的にコントローラーの上で親指が動きます。

集中していると、何も考えていないのに、
指が勝手に落ちている物体を手際よく処理してくれます。
Aボタンで上下左右の向きを変え、十字ボタンで移動させる。



さらに集中が高まると、次の次に出てくる物体が何なのか、
感覚的に分かってきます。



しばらくやっている内に、
何十手も先まで見えてしまいました。

まるで、将棋の羽生名人のように。


私はテレビゲームの画面に向かって
「参りました」と頭を下げました。



8
3月
3:33

音符の上の山田



五線紙の上の音符♪

ジグザグに、まっすぐに、
長く、短く、
ランダムに置かれている音符。


庭園の置き石の上をステップするみたいに、
音符の上を跳ねてみる。

音符を踏むと音が出る。
スキップするとメロディーが生まれる♪



7
3月
3:33

高層ビルを歩く山田



超高層ビルの中を散歩しています。
静かなエレベーターは、異次元に向かって走る列車みたい。

ドアが開いたら、そこは見知らぬ星かもしれない。
あるいは、10年前の地球かもしれない。


誰もいない広いフロアの中をとぼとぼ歩いていると、
いろいろな妄想が渦巻いてきます。
電気は煌々と灯っているのに、
人っ子一人歩いていないんですもの。


耳をすませ、
眼を見開き、
クンクン臭いをかいだり、
五感をフルに働かせながら、神妙に歩きます。



エレベーターが開けば、中には血だらけの惨殺死体が横たわり、
どこかのドアを開けたら、金属バットを振り上げて待っている者があり、
廊下の角を曲がったところには、大きい鎌を振りかざす者がいる。
無事、角を曲がりきると、背中から鈍器で殴る者がいる。


そんな気配に満ちています。



SFとホラーがミックスされて、
想像するだけで、命がけです。
怖くて、おちおち出かけてもいられません。



6
3月
3:33

火の玉と山田



空に火の玉が浮かんでいました。
昨日も、そして今日も。

火の玉は、じっと見ていられないほど眩しくて、暖いです。


地球外の火の玉が、空に浮かんでいるのに、
これは…たぶん、UFOが往来するよりもすごいことなのに。


むしろ、夜ご飯のおかずや、洗濯物の乾き具合の方に、
心が向いてしまうことが、面白いです。



5
3月
3:33

カプセル山田



口を大きく開けて、あくびをしたら、
シャボン玉みたいなものが出て来ました。

シャボン玉みたいな、透明な玉が。


ゆっくりと口を開けたり閉めたりすると、
次から次に、玉が出てきます。
水中で口をパクパクさせている、お魚のようです。


シャボン玉は、透明なカプセルになり、
ゆらゆらと空中に浮かんでいます。


よく見ると、
カプセルの中には、
小さな果物、
小さな椅子、
小さなピアノ等々…。

可愛らしいミニチュアの物が、入っています。

面白い! 面白いよ!
次から次に、出てくるよ☆


私は、ガシャポン(capsule toy)の機械になったみたい。



4
3月
3:33

グルメな山田



仏教徒は、牛を食べない。
イスラム教徒は、豚を食べない。
日本人は、犬を食べない。


フランス人は、ウサギを食べる。
エジプト人は、鳩を食べる。
日本人は、クジラを食べる。


山田は、カラスを食べない。
カスミは、ひじきの煮物を食べない。
タマミは、5年を目処に業態を変えるため、外装や内装をチープに施している、そこそこ洒落た雰囲気の、チェーン展開の店の冷凍コース料理(原価490円、売価3500円)を食べない。



私は、どんなにお腹がすいても、
人間や猫やトイプードルやシーズーやパグとか、
見慣れているケモノは、食べないと思う。


本当にお腹が空いたら、畳や壁紙は食べるかもしれない。
そして、絶対に食べるのは、お花!
ヒラヒラした花びらの、サーモンピンク色のお花は美味しそう!


ステキ、すてき。
飾ってもステキ、食べてもステキなのは、可愛いお花だけ☆



3
3月
3:33

3月3日の山田



タマミとカスミを連れて、
イースター島へピクニックに来ました。


モアイ像がたたずむ丘に座り、
美味しいおにぎりを食べました。

たらこ、おかか、塩鮭。
海苔の香りいっぱいの、小さい俵型のおにぎり。

とてもお天気が良くて、
お腹いっぱいになったので、
つい、ウトウトと眠ってしまいました。


大地に背中を支えられ、
何の用事にも追われずにお昼寝するのは、
最高に贅沢な時間です。

そんな贅沢を何度も味わっているけれど、
全然、飽きることがありません。

   ◇  ◇  ◇

何時間ぐらい眠っていたでしょうか。
目覚めてから、ここがどこだか気付くまで、2秒ぐらい。

目の前に、海が広がっている。
それは、私の家から見えるいつもの海とは違う風景。


寝起きの頭で見た景色の、その普通ではない感じに、
急に眼が覚め、釘付けになりました。


何十体というモアイ像が、海に向かい、
隊列を組んで行進しているのです。

まるで、アメリカ空軍の航空ショーのように、
きれいに逆V字の隊列を組んでいるのです。


しばらく沖の方まで進んだモアイたちは、
今度はぐるりと振り返って、まっすぐ横に並び、
こちらの方へ向かって来ます。

歩いているのか、泳いでいるのか。


とんでもないものを見てしまったのかもしれません。
このことは秘密にしなくちゃ。誰にも言ったりしない。


モアイたちは、そんな私の畏れなど気にしていないかのように、
堂々と隊列を組んで、こちらへ向かって来ます。

私は、タマミとカスミの手を引き、
丘の上の方まで走って逃げました。


遠くからモアイ軍団を見守っていると、
彼らは隊列の形を変え始めました。

ドドン、ドン、ドン。
彼らが動くたびに、大地が鳴ります。
小さい花が、踏みつけられて可哀想!
ドドン、ドン、ドドン。

やがてモアイたちは、段々の上に上がり、
数体ずつ三角状に列を成し、
ゆっくりと、こちらへ回転しました。
大きめのモアイが2体、一番上の段に乗っています。


その隊列を組み終えると、ひと呼吸の間をおき、
「ひな祭り、おめでとう」
と上段のモアイが言いました。

すると、そのモアイたちの背後から
可憐な桃の花を咲かせた枝が広がり、
それは、中段のモアイ、下段のモアイへと続きました。

「ありがとう」
可愛くはないけれど、嬉しかったです。
モアイさんたち。


私たちは3人で『春 ラ!ラ!ラ!』を唄いながら、
スキップで桃の節句を祝いました。

♪ 春という字は 三人の日と書きます〜 
 (タマミとカスミと そして私の日〜)

  桃の花咲く樹の下で 三人そろって 春ラララ〜 ♪



2
3月
3:33

3月2日の山田



3月だから、

3月の歌を歌い
3月の星を探し
3月の海で遊ぼう


それは一体、
どんな歌? どんな星? どんな海?


どんなのかを想像するのが、
3月の流儀。


春が来たら、それからはもう冬に向かって行くから、
今のうち、今のうちに、春の予感を味わいつくすの!